1.日本銀行広島支店
市電を袋町停留所で下車すると、目の前に旧日本銀行広島支店がある。
被爆後も営業に使用されていたが、現在は市が借り受ける形で、一般に公開されている。
このような立て看板が案内役である。
館内は、支店長室の腰板に爆風で吹き飛んだガラス片の傷跡が残されているなど、当時の様子を物語る建物の一部や地下の金庫が見学できる。
1階ホール部分は、コンサートや展示会にも使われる。
この銀行の被害については、館内の案内プレートの説明が簡にして要を得たものになっている。
下に掲げる写真がそれである。
2002年の関学生による折り鶴焼失事件をきっかけに、原爆の子の像に折り鶴のための展示ブースが設けられた。そこに捧げられた折り鶴の保存と展示が行われている。
始めた年度の分が展示され、その後は前年度分が入れ替えられて展示されている。
また、折り鶴に縁の深い佐々木禎子さんに関するパネルのコーナーもある。
ここは被爆した建物が保存されている、原爆遺構としての性格がある。
ただし、原爆ドームのように見学する対象としての建物ではない。
平和に関するイベントや折り鶴の保管・展示スペースとして、平和を語り継ぐ場になる。
運営にはシルバーボランティアが活躍している。
また管理を委託されている警備会社のガードマンがガイド役もしている。
折り鶴の保存を外部から要請されているが、キャパシティを超えるのは時間の問題である。
今後どうするかが問題。移転する市民球場跡に折り鶴保管の建物を造ろうという案もあるらしいが、具体化はまだすすんでいないようす。
折り鶴を折るということの意味からよく考え直す必要があると思う。
ここは博物館、資料館として運営されているのではないが、毎年入れ替わる折り鶴など、平和を語り継ぐ機能をさまざまに持っているという意味で、動きのある平和メモリアルであるといえる。